薬王堂気まぐれ通信使bR03   2005・6・5
Yakuoudo Capricious Communications Satellite
6月5日の日曜日は地元・府中町から依頼されました薬用植物観察会に行ってきました。
場所は府中町の奥座敷、水分峡(みくまり)です。
まあ、自然や植物が好きなものですから何とか講師役が務まっています。

春の府中町薬用植物観察会↑


水分峡で見れる植物は以前にも説明しました。
その中で薬用植物として説明出来るものは限られてきます。
カンアオイ(サンヨウアオイ)はウスバサイシンの代用(土細辛)とした!
ガガイモは強壮作用の蘿摩として全草を中国で使ってきた、繊維は釣り糸として利用した、種子の綿毛は朱肉の綿代わりに使った!
ドクダミは煎じて服用すると炎症を和らげ化膿疾患をよくする!
などなど・・・その他、少しの植物を薬用植物として話します。
でも上のような話しは初めて聞く人のためのもので通の人には飽きられてしまいます。

あれこれと説明する気まぐれ広島人↑
ですから薬用とはかけ離れた話しもするようにします。
また参加者の方々から色々な情報を引き出すのも大切です。
年配者はいろいろなことを知っていますね〜
たとえばチガヤ(茅根)の根を集めて甘味料の代わりにしたとか、クサギの葉を御浸しにして食べるとゴマ味がして美味しいとか・・・
文章で伝承されたことではなく生活の中で植物を利用してきた知恵を聞くことが出来ます。
薬用植物観察会とは名ばかりで自然を通じて皆さんと交流する!といったほうが早いでしょう。
そんな中、今この町でブームになっている事がありました。
それはアシタバを畑で栽培することです。
畑でアシタバを栽培する↑
アシタバ セリ科 シシウド属  Angerica keiskei

牧野富太郎氏は『嫩=若い葉をとりて食用とす。和名は明日葉にて、今日その葉を切り取るもその茎強壮にして明日直ちに芽出するの意』と説明しています。
Angerica とはエンゼルからの語源、keiskei とは幕末から明治にかけて活躍した植物学者、伊藤圭介氏と関係があると思われます。
アシタバによく似たハマウド(Angerica japonica)は葉や茎の切り口からアシタバのような黄色の汁は出ません。
この黄汁は主成分にキサントアンゲロールとか4−ハイドロキシデリシンを含むと薬用書物に書いてありますがとにかく衣類に着くと色が取れないのが難点です。

アシタバの若い芽↑
でもこのアシタバ!食べると美味しいんです。
近所のおばさんが自作するアシタバを持って来てくれました。
若芽は天ぷらで食べると癖もなく非常に美味しい!
少し大きくなったものは茹でて醤油をかけて食べるとこれまた美味しい!
大きくなった葉を乾燥させてお茶として年中服用するとも言います。
私もやってみました。

アシタバは中国では薬用として使っていないようです。
自生地が伊豆七島の八丈島など、暖かい海岸線であることも関係があるでしょう。
何故、広島で作れるのかって?
ここ府中町は今から200〜300年位前までは潮のあがってくる瀬戸内の湾だったんです。
それに寒さに慣らすように栽培する人が時間をかけて改良してきたんでしょう。
中国で薬用にされているシシウド=独活(Angerica pubecens)やトウキ=当帰(Angerica actiloba)、ノダケ=前胡(Angerica decrsiva)などは人体の血液を活性化する生薬として使用されています。
アシタバにもそんな薬効があると私は思っています。
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